地方公務員の退職金は2,470万円?退職金制度を解説




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北田豊

北田豊

ファイナンシャルプランナー・AFP・資産形成コンサルタント
外資系金融機関にて7年間勤務。連続年間表彰、上位1%の成績を収めた後、株式会社Bright Reachに副社長として参画、入社後半年以内で、代理店ランキング全国No.1に育て上げる。不動産・保険を活用した、節税・節約・資産形成コンサルタントとして活動。MDRT基準COTホルダー
握手をしているビジネスマン

近年の不況経済によって、新卒者の公務員希望が増えているそうです。安定収入の最たる職種の一つですが、中でも高額な退職金(退職手当)は注目されがちです。

しかしその地方公務員の実態を知れば、実はその退職金も決して高いとは言えないかもしれません。

地方公務員の退職金は2,470万円?退職金制度を解説

1)そもそも退職金とは?3種類の公務員の違い

日本では、近年退職金制度よりも、平均給与に退職までの積立金を上乗せし、平均的に給与に振り分ける擬似てきな俸給制度も増えてきています。

それぞれの事業者で、退職金に当たる資金調達は、一般的には社員の支払い分から積み立てる年金のような運用形式から、人件費として計上する方法が主体に行われています。一方で公務員の場合は、俸給制度を国が決め、それに従って自治体や官庁では、それぞれの公務員法に則る「退職手当」という形で支給される違いがあります。

【1】退職金とは?

就業条件の上限年齢に達して、退職や任期終了に伴って支給される、就業期間、任期期間に応じた一時金支給の事を退職金と呼びます。諸外国では、俸給制度が一般的で、社員は契約であるため、契約更新時に翌年度の報酬の中に、退職金も含めた給与が設定されています。

【2】3種類の公務員と退職金の違い

・地方公務員:地方公務員法第261号が定める4条第3項に基づき、就業期間に応じた級数で決定

・国家公務員:国家公務員退職手当法第182号の規定により、国会の承認を得て決定

・国際公務員:国家公務員の法規と同じ

【3】国家公務員・国際公務員の退職金の平均って?

任期期間と途中退職やその事情(自己都合・早期退職など)によって、退職手当の計算式が異なります。まず基本額が計算され、その次に調整額をプラスして算出されます。

基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・金属期間別支給率×調整額)+調整額=退職手当

俸給月額は一般職の場合は一般職給与法に基づく俸給と俸給の調整額の規定によるものです。給与は俸給表があるので、すでに一般公開されています。

・6月以内の者を除く定年前15年以内に勤続期間20年以上の職員定年1年前退職

・公務上死亡・傷病等により退職した場合で、定年前の残年数1年につき退職日の俸給月額を3%(最大45%)割増して基本額を算定

・事務次官・外局長官クラス(一般職給与法指定職俸給表6号俸相当額)以上の者は割増不適用 、局長クラス(一般職給与法指定職俸給表4号俸相当額)以上の者は割増率1%、審議官クラス(同表1号俸相当額以上4号俸相当額未満)の者は割増率2%

計算式 :退職日俸給月額×{1+(3%〔割増率〕×定年までの残年数)}×退職理由別・勤続期間別支給率×調整率

パソコンで作業をしている女性

2)地方公務員の退職金の計算方法

国家公務員とほぼ同じ計算構造となっています。

・退職手当額 = 基本額 + 調整額   

・基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率        

・調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから60月分の額を合計した額 

【1】定年退職の支給率の違い

単位が「月」とは、1.0か月、5.0か月のような、月数のことです。公務員では(1.59月分)など、月を月単位として使います。

・定年退職(月単位)

1年:1.0

5年:5.0

10年:10.0

15年:19.375

20年:30.55

24年:38.87

25年:41.34

30年:50.7

35年:59.28

45年:59.28

・自己都合(月単位)

1年:0.6

5年:3.0

10年:6.0

15年:12.4

20年:23.5

24年:31.5

25年:33.5

30年:41.5

35年:47.5

45年:59.28

・整理退職(月単位)

1年:1.5

5年:7.5

10年:15.0

15年:23.25

20年:32.76

24年:39.624

25年:41.34

30年:50.7

35年:59.28

45年:59.28

【2】3つのタイミングによる違いとは?

・定年退職

公務員法に定める条件で任期及び年齢が上限に達した場合は、自動的に退職となります。

・整理退職

推奨退職などで、「任命権者が、人事管理上の目的から職員に対して退 職を勧奨し、これに応じて当該職員が退職すること」と定めています。

・自己都合

推奨退職に応じて職員が自ら退職を依願し申し出る退職のことです。いずれにせよ、年齢的に昇任が難しく、また余剰職員として任命権者、つまりその部署の上司が自治体の所轄の中で上層部から通達を受けて判断し、然るべき時に職員に進言する場合が、整理退職、自己都合、推奨退職などに当たります。

傷病における退職もありますが、多くは定年まで職務をするのが、一般職の大半です。

3)シミュレーション!退職金の計算事例

計算式にある「調整額」は、国家公務員法に準じていますので、各月に職員が属していた職員の区分(第1号区分~第11号区分)に応じて定める額から、その額が多いものから60月分の調整月額を合計した額を 調整額としています。

【1】調整額例

年俸とは、俸給表によらない職員の場合で年俸12分の1を基準としています。

・指定職(6号俸以上) これに相当する職員:7万9,200円 年俸:95万円 

・指定職(5号俸以下) これに相当する職員:6万2,500円 年俸:75万円 

10級:これに相当する職員54,150円 年俸65万円

9級:これに相当する職員50,000円 年俸60万円 

8級:これに相当する職員45,850円 年俸55万円 

7級:これに相当する職員41,700円 年俸50万円

6級:これに相当する職員33,350円 年俸40万円

5級:これに相当する職員25,000円 年俸30万円

4級:これに相当する職員20,850円 年俸25万円

3級:これに相当する職員16,700円 年棒20万円

【2】ケース2:基本給(退職日給料月額 )30万円・勤続年数10年一般職員10級

・基本額 = 30万× 10=300万円       

・調整額 = 5万4,150×60=324万9,000円

退職手当=624万9,000円

【3】ケース1:基本給45万円(退職日給料月額 )・勤続年数30年指定職5号以下・年俸制

・基本額=45万×50.7=2,281万5,000円

・調整額=(75万÷12)×60=375万円

退職手当=2,656万5,000円

以上のように、地方や国に属する公務員というのは、民間企業並に退職金を支給されるようになるには、最低でも20年以上の勤務実績が必要であり、加えて地方公務員の場合は、役職付の人員は限られているため、給与も上限が事実上あるということになります。また、毎年定期採用するために、税収が減れば人員も削減される方向になることが多いのです。

【4】退職金の税金の計算方法

原則的に、給与支給計算方法及び所得税や地方税に関しては、公務員と民間会社員で違いはありません。公平に必ず課税されるようになっています。退職手当に関しては、他の所得から分離する課税方式を採用いており、計算式は以下になります。

・退職手当課税対象額=(退職手当額-退職所得控除額)×0.5(2分の1)※1,000円未満切り捨て

・勤続年数20年以下:勤続年数×40万円(退職控除額80万円未満は、80万円で統一)

・勤続年数20年以上:(勤続年数-20)×70万円+800万円

退職控除額については、源泉徴収のための退職所得控除額の表に準ずる

・課税対象金額:上記の式で研鑽された「所得」に対して、所得税が課せられます。

・所得税:月給は1年間収入のから所得控除、退職所得は分離課税となります。

所得税額=(課税対象額×税率-控除額)×1.021(1円未満切り捨て)

平成25年から、2.1%の復興特別所得税が追加課税

・住民税:退職所得に課税される住民税は10%(内訳:市町村税6%、都道府県民税4%)

※税額に100円未満がある場合は切り捨て

【5】退職金の所得控除って?

分離課税方式なので、年間月収の合計とは別に、退職所得控除額の表が設定されてます。

【6】退職金を確定申告をして得するケースとは?

役員等勤続年数が5年以下である人が支払を受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては、平成25年分以後は退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が退職所得の金額になり、上記計算式の1/2計算の適用はありません。従って、役職のある退職者の場合は、確定申告をした方が望ましいかもしれません。

4)地方公務員の定年時の退職金の平均とは?

全国平均が勤続年数40年で、平均2,470万円となります。平均では、勤続年数30年以上が50%以上なので、満額を支給されるには30年以上、40年の勤続期間が必要です。

【1】全国の平均とは?

平均2,400万円~2,600万円以上ですが、定年60歳まで勤めるのは50%程度なので、約半数以上はこの満額に近い金額は、多くの公務員は受け取っていないことになります。

【2】職種によっても退職金が違う?

一般職は、給与・退職手当も同様の計算式で行われます。警察は警視庁に採用された場合は、国家公務員、各都道府県警察採用の場合は、地方公務員です。消防士は各自治体管轄なので、地方公務員です。教員は教育公務員特例法第2条で定義されています。

学校教育法第1条に定める学校の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、大学、高等専門学校、特別支援学校及び幼稚園となり、これらの公立校に従事する者が地方公務員となります。公務員の支給額は、それぞれ俸給法で定められていますので、昇任するタイミングに差異はありますが、原則計算式は同じです。

【3】退職金の高いランキングベスト3

・1位:電通役職者クラス約4,100万円台

・2位:ANA勤続38年約3,800万円台

・3位:東芝早期退職適用50歳約3,500万円台

※公務員はいずれにしても、退職金ランキングでは9位以下程度です。

【4】退職金の低い地域とは?

原則的に、地方公務員数はその自治体の税収に左右されるので、全国平均を見ても100万円から200万円程度の差しかありません。つまり、税収が低い地域は職員を削減し、税収が高い地域は職員数を増員して配分するため、地方格差はそれほど高くはないのです。

退職金格差が生じやすい要因は、職員が多い地方自治体で、昇任出来る人数が一定に限られた地域があるからです。例えば東京都庁のように税収も高く職員が多い場合は、予算の都合もつきますが、地方自治でも町村に該当する地域は、職員数が少ないため、昇任割合も高いです。ただし、都市部の行政は業務も激務なので、自己都合退社も多く含まれます。

5)退職金で把握しておくべき7種類のポイント

【1】チェック1:自己都合退職は支給率が下がる

理由によるのではなく、法令上退職金は勤続年数と昇任した級数、昇進試験で決まるので、勤続年数が短ければ自動的に退職金は下がります。

【2】チェック2:定年前早期退職特例措置とは

定年前15年以内に勤続期間20年以上の職員で定年前6月以内の者を除いた、応募認定・公務上死亡・傷病等により退職した場合の退職手当特例処置です。定年前残数年1年につき、俸給月額を3%、最大45%割増された退職手当基本額が設定されます・

【3】チェック3:休職期間があった場合の計算って?

3月と8月は1日以上の勤務日があるので除算の対象とならず、4月から7月までの4月間が除算期間の対象となります。この期間が私傷病休職又は停職処分であった場合は以下の様に処理します。

除算期間=4月×1/2=2月

この期間が職員団体専従休職期間であった場合は、以下になります。在籍専従とは、職員としての立場を保持しつつ、職員団体の業務に重点を置いて従事することであり、職場の労働協約によって籍を置いたままにすることができます。

一部の公務員の場合、7年以下の範囲内で人事委員会規則又は公平委員会規則で定める期間を超えてはならないとされ、在籍専従の間は休職者とみなされるため給与は与えられません。また、退職手当の算定の基礎となる勤続期間にも算入されません。職員団体とは、一般職の公務員が勤務条件の良好な改善を目的として組織された団体のことです。

【4】チェック4:職責ポイント制度とは?

正式には「職務糖等級制度」のことです。特徴は以下のようになります。

1.あらゆる職務(職種)について詳細な職務記述書を作成

2.職務記述書に明示された職務を遂行できれば、同一賃金

3.「同一労働・同一賃金」が原則なので、学歴・年齢・勤続年数の裁量は与えられない

4.職務価値により、賃金が決定される。

5.職務記述書には担当する業務すべてを網羅し、詳細に記述する。

6.職務上のミスは等級を引き下げるなどの措置が翌年度から決定される

7.始末書・顛末書などの職務ミスや業務に支障を生じた場合は、当該書類を提出する

【5】チェック5:将来の地方公務員の退職金ってぶっちゃけどうなる?

民間と同じで、少子高齢化の影響で業務は更に激務になり、職員確保が難しくなるでしょう。現状としては、予算配分削減の方向性に移行しています。

【6】チェック6:退職金は勤続年数によって大きくに変動する

正確には、職務糖等級制度の規定により、言い換えれば「一度もミス無く職務を継続して、定年まで終える」というのが、退職手当に悪影響を及ぼさない事といえます。

【7】チェック7:結論!地方公務員の退職金は一般企業よりも高い?

すでに説明したように、地方公務員は職務糖等級制度の規定で身分が決められ、労働裁量は考慮に全く入れてはいません。つまり、同じ立場なら全員同じ給与と退職金です。その意味では、労働裁量と業績が反映する、民間大企業の方が遥かに退職金は高いです。

まとめ

1)地方公務員は、待遇の格差は殆ど無い

2)民間の退職金は労働期間と能力などの裁量、地方公務員は国の法律によって決められる

3)民間と同程度の退職手当を得るには、勤続期間25年以上が必要

4)民間は成果、公務員は決められた職務を行うのが義務

5)地方公務員も含めて、公務員は新規採用からおよその生涯賃金が計算できる

6)民間は役職と立場、公務員は身分と階級によって給与が異なる

7)地方公務員は人員、財源とも少子高齢化によって厳しいのが現状

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