【3STEP】法人税を還付させるための手順と計算方法




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志賀 公斗

志賀 公斗

早稲田大学法学部卒。会計事務所勤務を経て志賀公斗税理士事務所を東京で開業。不動産投資・相続に関する節税業務に特化した税理士事務所を運営。著書に『はじめての不動産投資完全負けナシバイブル』『不動産投資でガッチリお金を残す節税のツボ』などがある。
電卓で計算をしているビジネスマン

欠損が生じた場合、法人税の還付が受けられる制度である欠損金の繰戻し制度や翌期以降の法人税を下げる欠損繰越についてケーススタディを用いながら解説しています。

知っているのと知らないのでは大違いの制度を、この記事では幅広くご紹介します。

1)そもそも還付の制度とは?

【1】還付とは?

今回は、法人税の還付についてご紹介していきます。還付とは、簡単に説明すると、税金を納付するのではなく、逆に返してもらうということを指します。個人の申告では、会社から所得税を源泉徴収されていたものが、医療費の申告をすることで、源泉徴収されていた所得税の一部を国から返してもらう還付申告をすることができます。

馴染み深いかと思いますが、法人税の還付はあり得るのか?と思われた方もいると思いますので、この点を詳しくご説明していきます。

【2】欠損金の繰戻しとは?

法人税の還付申告におけるキーワードは「欠損金の繰戻し」です。欠損とは簡単にいうと赤字のことです。利益計算をした際に欠損の場合、法人税の納付はしなくて構いません。それに加えて、青色申告事業者である法人は欠損金の繰戻しによる還付申告ができます。

欠損金の繰戻しとは、今期発生した損金を前期の益金と合わせることで、前期納付した法人税の一部の還付を受けられることを指します。要は今期発生した赤字を前期に繰戻すことで前期の税金を安くでき、その差額分を今期還付してもらうということです。

【3】地方税には欠損金の繰戻還付制度はない?

法人税には、国税部分の法人税と地方税部分の地方法人税があります。先ほど説明した欠損金の繰戻しによる還付制度は法人税にはありますが、実は地方法人税にはない制度なのです。その代り翌期分の地方消費税が下がるような仕組みになっています。そのため、還付はありませんが、計算上翌期の税金を安くします。

【4】法人税の還付を受け取るための3ステップとは

法人税の還付を受けるためには、

STEP1:事前に青色申告事業者の届出書を管轄の税務署長に提出し承認を受ける。

STEP2:繰戻し還付の請求の前期の申告で法人税を納める。

STEP3:繰戻し還付の請求を請求する期に赤字で、確定申告書の提出と同時に「欠損金の繰戻しによる還付申請書」を提出する。

といった3STEPが必要となります。

【5】繰戻し還付を請求する為の要件

その繰戻し還付を請求するための要件は、

1:前期・今期と連続ともに青色申告をしていること

2:今期期限内申告をしていること

3:今期の申告と同時に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出していること

上記の3つになります。

2)どんな法人が可能?中小企業の条件とは?

その要件に加えて、そもそも欠損金の繰戻し還付制度の適用が認められている法人は中小企業に限られています。その中小企業とは、

【1】資本金1億円以下の普通法人

【2】法人税法上で定められている公益法人や共同組合等

【3】その他の法律で公益法人等とみなされている法人や人格のない社団等

が上げられます。通常の法人であれば、資本金1億円以下かどうかを基準に判断できるので、比較的容易に判断できます。

3)特例もある?特定の条件とは?

【1】解散等の事実が生じた場合の特例

事業全部の譲渡や更生手続きの開始など解散等の事実が生じた場合はこの解散時の年度は欠損金の繰戻し還付を請求できます。ただし、この場合でも今期と前期に青色申告をしておく必要はあります。

企業のミーティング風景

4)ケーススタディ!還付金の計算方法とは?

【1】還付金額の計算式

ここまでの説明で還付を受けられることは理解していただいたかと思います。次は、実際の計算方法をご説明します。

還付額=前期法人税額×(当期欠損金額/前期所得金額)

で還付額を表されます。

【2】ケーススタディ1:

例えば、前期の所得が500万円で75万円の法人税を納付しており、今期は400万円の欠損が発生したとします。

この場合、前期法人税額=75、当期欠損金学=400、前期所得金額=500であるので

還付金=75×(400/500)=60

で60万円の還付を受けることができます。

【3】ケーススタディ2:

次は、前期の所得が500万円で75万円の法人税を納付しており、今期は800万円の欠損が発生したとします。この場合、前期法人税額=75、当期欠損金額=800、前期所得金額=500ですが、前期所得金額以上の欠損は充当できないので、当期欠損金額=500として計算します。

還付金=75×(500/500)=75

で60万円の還付を受けることができます。

この繰戻し還付は1年しか遡れないので、この時余った300万円分の欠損金は翌々年に繰戻すということはできません。ただし、欠損金の繰越控除は適用することができます。

5)欠損金の繰越控除って?

【1】欠損金の繰越控除とは?

この欠損金の繰越控除とは、繰戻しと逆の考え方で、今期の欠損金を来季に持ち越すという制度です。先ほどの繰戻し還付では今期の欠損金を前期の益金と合算して欠損金分の還付を受けるといった制度でした。

一方、繰越控除は今期発生した欠損金を来期に繰越し、来期の税金を計算する際にその繰越した欠損金と来期発生した益金を合算して税金の計算をするという制度です。つまり、繰越した分だけ来期の税金が抑えられるという効果があります。

【2】「繰戻し還付」と「繰越控除」の違いとは?

繰戻し還付と繰越控除は性質上大きな違いはありません。ただ、繰戻し還付は1年しか遡れないが、繰越控除は9年間繰越すことができるので、期間が大きく異なります。違いとしては、繰越還付は今すぐに還付を受けることができますが、繰越控除の場合は還付は来期以降になるので、繰戻し還付の方が資金繰りは良くなるという違いがあります。

【3】欠損金を繰り越すために必要な3つの要件

繰越控除を受ける際の要件は

・欠損金が生じた事業年度に青色申告を出していること

・翌期以降も連続して確定申告書を提出していること

・欠損金の生じた事業年度に係る帳簿書類等を保存していること

の3つがあります。

6)還付金の受け入れ方法の確認を!3種類の違い

【1】法人税

還付の受け取り方は先ほどご紹介したSTEP1~3を実施することで還付金申請をできます。欠損金の繰戻しによる還付申請書を提出する際に還付金の口座を提示することで、国よりその口座に入金があります。

【2】事業税

先ほどもご紹介しましたが、事業税に繰戻還付はなく、繰越控除のみあります。具体的な手続きは始業税の申告書の他に控除明細書の提出が必要になります。

【3】所得税

法人税同様、確定申告時に還付口座を指定することで、国から還付を受けられます。法人税と申告書自体は異なりますが、制度自体は同じものです。

7)還付金を請求・受け取る際での注意点とは?

ここまでも紹介してきましたが、最後に重要な注意点をお伝えします。

【1】法人税のみが還付されるため、法人事業税などは還付されない

法人税は繰戻しによる還付金を受けることが出来ますが、法人事業税には繰戻し還付制度はなく、繰越控除制度のみなのでそもそも還付を受けることができません。

【2】還付申告後は税務調査を受ける可能性が高まる

還付申告を提出していると税務調査を受ける可能性が高まります。毎年赤字で一年だけ黒字になり還付申告を提出したという場合であれば、可能性は低いですが、その逆で例年黒字であるが、単年で赤字に転落した場合は税務調査の調査ポイントになることがあります。

赤字であり還付申告の場合、調査官の目に留まりやすいというデメリットがあります。もちろん、税務調査が実施されても誤りがなければ追徴課税されることはないので問題ありません。

まとめ

1)欠損が生じた場合は繰戻しにより法人税の還付請求ができます。

2)繰戻しきれなかったものは欠損金の繰越ができます

3)法人事業税は繰越控除のみできます

4)欠損金の繰戻しや繰越をするためには青色申告が必要です。

5)還付金は指定した口座に国から振り込まれます。

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志賀 公斗

志賀 公斗

早稲田大学法学部卒。会計事務所勤務を経て志賀公斗税理士事務所を東京で開業。不動産投資・相続に関する節税業務に特化した税理士事務所を運営。著書に『はじめての不動産投資完全負けナシバイブル』『不動産投資でガッチリお金を残す節税のツボ』などがある。




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