効果的!自営業が税金対策で確認したい10のチェック項目




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志賀 公斗

志賀 公斗

早稲田大学法学部卒。会計事務所勤務を経て志賀公斗税理士事務所を東京で開業。不動産投資・相続に関する節税業務に特化した税理士事務所を運営。著書に『はじめての不動産投資完全負けナシバイブル』『不動産投資でガッチリお金を残す節税のツボ』などがある。
電卓を持って考え事をしている女性

一言で税金対策というと経費節減を思い浮かべますが、自営業では世帯主が事業主である場合が多いので、一般的な雇用者の所得控除以外にも、様々な税制の優遇処置が取られています。

適正な納税方法を知って、自営業の節税に役立てましょう。

1)節税対策の必要性と納税の仕組み

個人事業として1人が収入を得る場合でも、「所得税」は必ず納税しなければなりませんが、その他に地方税、何かの商品を売った場合は「消費税」を加えてますから、これを納税する義務を負います。この中の地方税に含まれるのが、自営業の業種が存在する地域行政に納税義務が発生する「個人事業税」です。

【1】そもそも自営業の定義とは?

広い意味では「個人事業主」が自営業に当たりますが、個人で事業を営み、雇用を含まない形で商店、工場、農業、開業医、弁護士、著述家や内職において収入を得ている方が、自営業主となります。

【2】自営業に取って節税対策が必要なワケ

これは事業所得と個人所得が直結する自営業では、「所得税」で一括に確定申告となるため、経費などの節税対策に限界がある点が多く、独自に事業所得分と個人所得を区別して会計する必要が出てくるからです。自営業主は特に、このどこまでが経費とするかは極めて重要になります。

・会社員との違いとは

会社員の場合も、「個人が所得を得ている」点では自営業と同じですが、会社員の場合の納税は源泉徴収という方法で雇用主が所得税、地方税を代わりに納税しています。従って一般的に雇用されている会社員は、得ている収入は税金を差し引かれた形ですので、確定申告は必要ありません。

【3】自営業の「納税」の仕組みとは

どのような人でも収入を得ている場合は、所得税の納税義務がありますが、これは毎年1月1日から12月31日までの期間で得られた収入を基準としています。この「前年度の収入」に対して、その年の納税額が確定します。事業収入が一定以上になった場合は、事業を個人でも法人化することでメリットがあります。

【4】青色申告のメリット

事務処理手続きは、白色申告とは違って複式簿記となるため少々煩雑ですが、税務署が定める必要経費と認められる範囲が広く、所得金額(収入から所得税を引いた金額)から、更に納税を免除される科目数や金額が増えるといったメリットがあります。

「控除」とはその金額に対しては税金が課せられないという意味です。つまり節税とはこの控除額を増やすことにあります。

2)自営業の税金対策!効果的に活用したい10のチェック項目

【1】経費計上の見直し

経費の考え方として、原則「税金対策」として有効なのは、事業に直接関わる支出に対して、税金が設定された場合は事業収益(収入)に対して納税義務があるのですから、これは二重課税となる点を理解することです。従って「このような支出が無ければ、事業を運営できない。」という基準が経費として計上できます。

・経費の考え方とは

数億円の企業間取り引きが発生する中では、会議も食事をしながらの取締役や重役会議もありますが、年商500万円などの1,000円以下の事業収入では、同じ会食費用を経費とするのは、非常に不自然ですよね。つまり経費は「事業総収入と照らし合わせて、妥当にみえる」ことが極めて重要なのです。

・経費にできるもの

まずは個人事業税や不動産所得税、自動車税や登録免許税などの「毎年支払う税金」は、初めから控除されます。これも経費です。次に事業運営で絶対に必要な電気、水道、場合によってはガスなども飲食業では経費となります。

次に事業で必要なFAXや電話、自社WEBページやクラウドサービスを利用しているなら、事業に関係あればこれも経費です。耐用年数10年未満の消耗品で、事業運営には無くてはならない備品や事務所にかかる諸経費なども経費に該当します。

事業専用の自動車がある場合は、当然定期点検費用や修理費用も経費となります。簡単な話、費用を払った際に「会社名」を絶対必要とするような支出は、原則経費と考えても良いでしょう。

・経費にできないもの

一番典型的に経費かどうかが判断しづらいものは、「飲食代」です。青色申告書を入手すればわかりますが、「接待交際費」という科目があります。これは得意先を相手としたゴルフや、忘年会などの食事代、贈答品や慶弔見舞い金などの判断です。

この場合、「用途」の点で不透明な場合が多いのです。基準としては、毎年固定で契約した「自社よりも大きな事業規模」の取り引きが発生している場合は、事業収益に大きな影響を与えますので経費と認められる部分が出てきます。

逆のパターンは単に個人的な付き合いとしてですから、支出の領収書に自社の名前を記載する方が不自然でしょう。また消耗品に関しても、その年だけ事務費が上がってるのに、雇用が無いケースは、出費として不自然ですよね。事業形態に変化がないのに、自動車を突然高級車に変えた場合も同様です。

・見直し方のポイントとは

経費や年間支出に関しては、単に削減するだけではなく、仮に事業を終える将来に関しても備えや準備が必要です。無駄な出費を抑え、リスクマネジメントの意味でも出費はいち早く把握して見直すべきです。

【2】付加年金

日本に居住している人は、全ての20歳以上、60歳未満は年金制度に加入しなくてなりません。会社員の場合は企業の厚生年金加入が義務であるため、会社がこれを徴収していますが、それ以外の人は収入があれば国民年金加入が義務となっています。

この国民年金には3種類の区分があり、厚生年金や共済組合に未加入、そしてその厚生年金や共済組合に加入した家族に扶養されていない、20歳以上、60歳未満の方は、第1号被保険者となり、毎年の定額年金保険料に月額400円を付加させて、将来もらえる受給年金額を増やすことが出来ます。自営業の場合は国民年金となりますので、収入が増えた場合は納付を考えたほうが将来はお得です。

【3】個人年金保険

事業者が支払う積立金の厚生年金と、国が運営する公的年金以外にも、民間では個人年金を商品として提供しています。これも収入の中から支払う支出ですが、納税では一定の年間支出費用は控除されます。

しかも生命保険会社などの個人年金保険は、完全な「積立金」ですので、保険契約とは別に個別で契約することが出来ます。積立利率も比較的大きいのが特徴で、節税と同時に将来の備えとして有効です。

電卓を使っているビジネスマン

【4】国民年金基金

一度も会社に雇用された経験がない個人事業主等の場合は、厚生年金のように国民年金に付加させて、支給額を増額させるのは付加年金や個人年金保険以外は手段がありませんでした。一般の個人年金保険は、控除額が最大で4万円ですので、多く掛け金を支出しても節税になるとは限りません。そこで、この厚生年金付加との格差を埋めるために創設されたのが、国民年金基金です。

課税所得(収入から控除を引いた額)が年間400万円で、国民年金基金に30万円の掛け金を設定した場合は、所得税、住民税の合計で約9万円もの控除となるため、税制面で非常に有利な節税対策になります。

【5】小規模企業共済

言ってみれば、これは事業そのものに掛ける保険です。中小機構が運営する、国が創設した経営者の退職金制度で、毎月の掛け金が全額納税控除の対象になります。

加入は中小機構と委託契約を行っている全国の金融機関や商工会、商工会議所で、個人事業主でも事業の経営に関わる人を事業者1名につき、2人までを加入させる事ができます。家族のいる方は節税にもなるんですね。

【6】iDeCo(確定拠出年金)

個人型の確定拠出年金が「iDeCo(イデコ)」で、加入者の掛け金を個別に「運用収益」、つまり資金を投資などを使って収益を出し、その中から掛け金を支出した加入者が60歳になった時に年金として支給する制度です。

厚生労働省主導で、公的年金に上乗せでき、掛け金は全額控除対象となります。運用は金融機関や民間保険会社などが加入、サービス提供を行っています。

【7】倒産防止共済

昭和53年からスタートさせた、経営セーフティ共済です。個人事業の場合は、少ない取引先が倒産の危機に陥った場合は、連鎖倒産の危険があるために、中小企業倒産防止法に基づき、中小機構が運営を開始しました。掛け金月額費用を自由に設定でき、総額800万円までは積立が可能です。

1年以上継続して事業を行い、加入後6ヶ月以上を経過していれば、取引先事業者倒産による売掛金債権回収の貸付金を最高8,000万円まで受けることが出来ます。緊急資金調達方法としてある程度は考慮に入れておくと良いでしょう。

【8】減価償却の活用

減価償却とは、その資産に該当するものが使用不能となるまでの期間を基準に、年度毎にその価値が下がった費用を振り分けることです。法定耐用年数表が決められ、それに従ってその費用が決まります。

事業で使用される減価償却資産がある場合は、その減価償却費を経費として申請することが可能です。個人事業種の場合は、30万円未満の減価償却資産は、少額減価償却資産の特例として申請することで必要経費として、控除を受ける事ができます。

【9】扶養家族

「個人収入だし、特に所得税と地方税払えば問題ない。」と考えるのは間違いです。扶養家族として、世帯収入に対して納税される仕組みなので、扶養家族にパート収入がある場合、年収103万円以上の世帯主以外の収入は確定申告で納税義務が発生します。

つまりそれが配偶者であれば、配偶者控除の対象外となるのです。従って、青色申告として事業収入と個人収入は明確に分けることが節税になります。

【10】控除の活用

確定申告の経験がないと、「控除」の意味はわかりづらいかもしれません。納税対象とは、その世帯収入や事業収入の中で、1年間で支出される所得税、地方税を除く、経費や将来のための資金や備えのために支出した費用を策定して、その費用には税金をかけないというものです。

・青色申告特別控除

青色申告者への優遇処置の一つです。事業所得や不動産所得を生ずる事業を行っており、複式簿記を記録し賃借対照表と損益計算書などの事業収支を明確にした書類を税務署に提示した事業者が対象です。最高65万円までの範囲か、10万円を一律に所得控除を受けられます。法定申告期限が設けられているので、簿記の記述を習慣化する必要があります。

・給与所得控除

日本の税制では、全ての国民に納税義務を課していますが、収入に対して一定の所得控除が条件次第で受けられるようになっています。事業者は1円でも収益がある場合は確定申告をしなければなりませんが、これは世帯収入が世帯主一人の場合で、年間20万円以下の収入は確定申告の必要はありません。つまり、現在事業を立ち上げる途中で、また給与所得(複数アルバイトなど)があるなら、確定申告を自分で行い給与所得控除を受けるのが良いですね。

・住宅ローン控除

正確な名称は「住宅借入金等特別控除」といい、個人宅をそのまま事務所として活用する個人事業者は、年間所得合計3,000万円以下、10年以上の債務、既に入居状態で年度終了12月31日を過ぎるまで居住していることがわかれば、この控除を受けることが出来ます。身内などからの購入や贈与ではなく、床面積50平方メートル以上、築20年以内で居住用面積が総床面積の2分の1以上といった条件があります。

・生命保険料控除

生命保険とは、世帯主とその家族といった構成の中で、世帯収入が一人の場合にその人が死亡した場合の、収入保証として契約する掛け金制度です。保険契約者が保険金を受け取るのではなく、契約者が設定した「受取人」を決めておく、その世帯のセーフティ契約の一つです。これも一定の幅で控除額が決められています。

・地震保険料控除

地震保険は、民間の損害保険会社が提供する災害保険の一つで、毎年、あるいは毎月支払う保険料の総額で、5万円までは控除額とされています。

・寄付金控除(ふるさと納税)

「ふるさと納税」とは一般的な納税とは違って、地方自治体に善意で行う寄付金のことです。一般の団体への寄付金に関しては、控除上限はふるさと納税控除額よりも低くなっています。ふるさと納税の場合は、自己負担2,000円を使って、本来支払う所得税や住民税を決められるので(寄付額-2,000円)、場合によっては節税対策となります。ただし上限はあります。

確定申告のイメージ

3)理解しておこう!節税対策における注意点とは

単なる経費節減ばかりでは、事業は決して大きくも出来ず、また収益性が必ずしも良くなるとは限りません。間違った経営は「必要経費」まで手を付けて、これを大きく削るような経営です。投資と同じで、「少ない労力で大きな収益を上げる」のが、正しい自営業の在り方でしょう。

【1】そもそも節税の「目的」とは

それは何処まで行っても、やっぱり「適正な納税」をして行くことです。決して納税を逃れるためではありません。税金は国民の公平負担で行政サービスを充実させるために行われるので、納税は決して悪いことではないのです。

特に地方自治体においては、その地域で運営する事業者は「税収を稼ぐ存在」であるため、優遇的な存在とされます。そういった意味では、暗に行政に影響を与える存在でもあります。

【2】節税対策のやり過ぎに注意

先に説明したように、「必要経費まで削減するのは悪」というのは、事業計画が経費を削る事が目的となった場合は、資金を増やすには自己資金は全て自前で揃えることにシフトするため、新しい事業や開発などを事業目標として掲げ無くなることが多いのです。

この場合事業は受け身になり、万が一同業者が同じレベルでより安いサービスや商品を市場に展開した場合、市場原理に従い確実に駆逐されます。例として、日用品の需要では既にコンビニエンスストアと100円均一スーパー、一般的な総合スーパーと利用を完全に分けています。つまり競合する品揃えなら、需要は安い方に引っ張られ、経営が変わらない事業者は業界から消える運命になるということです。

【3】節税対策で失敗しないための心構え

経費節減の前に、毎年支払う定期支出をまず完全に把握することです。税金はもちろん、保険料、各種光熱費や生活費などの見直しをまず最初に行うべきでしょう。

経費は削減方向ではなく、収益に見合った計算の上で毎年むしろ引き上げる方向の方が、事業目標としては売上目標の根拠になります。事業は競争力と持続力こそが生命線なので、「なんのために節税するか?」は常に考えておきながら、取捨選択して実行していきたいものですね。

まとめ

1)公的な制度を使って、まずは正規の節税対策を試みること

2)必要経費に飲食などの不明瞭となりやすい支出を混ぜないこと

3)一定以上の事業収入があるなら、複式簿記で経営を把握し経費を細かく把握すること

4)事業継続と事業主の将来設計、セーフティネットを構築しておくこと

5)年金には種類があり、分散して将来の投資として考えるのが重要

6)節税分を収益に計上するのではなく、自己資本に付加させ、より大きな事業を行うようにシフトすること

7)必要経費とは削る方向ではなく、「適正」に正していくのが健全な会社経営となる

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志賀 公斗

早稲田大学法学部卒。会計事務所勤務を経て志賀公斗税理士事務所を東京で開業。不動産投資・相続に関する節税業務に特化した税理士事務所を運営。著書に『はじめての不動産投資完全負けナシバイブル』『不動産投資でガッチリお金を残す節税のツボ』などがある。




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