助成金と消費税の関係って?法人の会計処理の5つの注意点




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志賀 公斗

志賀 公斗

早稲田大学法学部卒。会計事務所勤務を経て志賀公斗税理士事務所を東京で開業。不動産投資・相続に関する節税業務に特化した税理士事務所を運営。著書に『はじめての不動産投資完全負けナシバイブル』『不動産投資でガッチリお金を残す節税のツボ』などがある。
考え事をしているビジネスウーマン

中小企業の資金調達として有効な助成金・補助金。とくに利益の出にくい技術開発の費用や施設整備費には便利な制度です。もちろん返済は不要。

助成金や補助金に消費税はかかるのか?計上はどうすればいいのか?注意すべきポイントとともにお教えいたします。

助成金と消費税の関係って?法人の会計処理の5つの注意点

1)そもそも助成金・補助金・給付金とは

【1】助成金・補助金・給付金の違いとは?

どれも事業を行うための支援金といえますが、法律用語ではなくハッキリとした定義がありません。一般的には、どこから支援されるかによって分類されます。

・助成金とは?

厚生労働省所管の支援金のことで、要件を満たせば基本受給可能です。申請期間は補助金と比較すると長期に設定されます。

・補助金とは?

経済産業省所管の支援金のことです。予算が限られているため、100パーセント受給できるとは限りません。件数のみが決まっている補助金もあります。つまり受給条件を満たしていても一定の申請者しか受給できません。申請期間は1か月ほどです。

・給付金とは?

学校等さまざまな機関からの支援金のことを示します。受給条件は給付制度により変わってきます。

・これらは「利益」扱いとなる?

助成金・補助金・給付金は売上ではなく収入扱いです。利益となり、雑収入に計上されます。つまり受給金額がそのまま利益となるのです。

・これらは不課税取引?

不課税取引とは、国外取引や寄付など対価を得て行っていない取引のことを示します。つまり助成金・補助金などは不課税取引といえます。

【2】助成金の代表的な3つの種類

まず創業関連の助成金が挙げられます。起業のスタートアップの費用や新しい分野の研究開発など、想像以上に大変な資金集めの助けになります。起業する前に応募し、事業の継続性や斬新性などが認められた場合に受給できます。

次に、雇用促進の助成金。定められた地域で事業所を設置し雇用をおこなう事業主に対して、その規模に応じて一定額が助成されます。

そして職場環境整備のための助成金があります。特定就職困難者雇用開発助成金などが該当します。これは、高年齢者や障害者などの就職困難者を雇い入れる事業主が受給可能です。

案内はないので、該当するものがないかご自身でチェック、もしくは専門家に相談するようにしましょう。

【3】助成金と消費税の関係って?

・助成金は消費税対象?

消費税基本通達5-2-15(国税庁HP参照)を見ますと、「補助金等のように、特定の政策目的の実現を図るための給付金は、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する」と記載されています。つまり給付金・補助金・助成金に消費税はかかりません。消費税とは国内で事業の対価にかけられるものです。助成金は対価として支払われるものではないので、消費税不課税ということになります。

・支給決定通知書とは?

「支給決定通知書」とは、助成金の支給が許可された際に送付される書類のことです。1~6ヶ月の審査ののち問題なければ送付されます。この支給決定通知書に記載のある支給日で経理処理を行いましょう。

机の上にあるビジネス用の電卓

2)助成金の会計処理方法

【1】助成金の会計処理

・いつ計上する?

所得税基本通達36・37共-48によれば(国税庁HP参照)、「給付金等については、その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する年分においてその金額が具体的に確定しない場合であっても、その金額を見積もり、当該年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入」とのこと。

また、同通達36・37共-49によれば、「奨励金等の額については、その支給決定があった日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入」とあります。つまり、助成金は支給が決定した日にまず未入金として計上しなければなりません。さらに実際に入金があったときに、口座の預金として計上します。

・仕分け方法とは?

雑収入として計上し、相手方は未収入金として計上します。多額でも単発で継続性がなければ雑収入として計上できます。国や地公体からの補助金は補助金適正化法にのっとって仕訳する必要があります。

・振込までの期間はどのくらい?

支給決定通知書がきてから約1~2週間以内に振り込まれます。しかし決算ギリギリになると1年半ほどかかる場合もあります。

【3】ケーススタディ:100万円の助成金補助を受けた場合

決算期をまたがない場合、「当座(普通)預金/雑収入 1,000,000」でOKです。またぐ場合は、補助金通知書がきたときに「未収入金/雑収入 1,000,000」の仕訳をおこし、入金があったら「当座(普通)預金/未収入金 1,000,000」の仕訳をおこします。

3)助成金の会計処理での5つの注意点とは

【1】会計年度に注意

前述のとおり、支給が決定した事業年度で計上しましょう。

【2】仕分け方法に注意

給料手当や雑給から差し引いて仕訳することは認められていないので注意しましょう。企業会計は総額主義であり、差し引きはこの主義に則っていないからです。

【3】助成金に法人税は課税される?

法人税は課税対象になります。法人税基本通達15-2-12(国税庁HP参照)を見ると、「固定資産の取得又は改良に充てるために交付を受ける補助金等の額は、たとえ当該固定資産が収益事業の用に供されるものである場合であっても、収益事業に係る益金の額に算入しない」と記載されています。したがって、助成金は法人税がかかるということになります。

【4】助成金を活用し固定資産を取得した場合は?

補助金によって高額の固定資産を購入した場合、購入金額から補助金をさしひいて記帳(圧縮記帳)すれば、かかる税金を少なくすることができます。

【5】補助金の圧縮記帳とは

固定資産の圧縮記帳は、税法の規定にもとづく会計処理であることが大前提です。また、譲渡資産と同一種類・用途の固定資産を取得することが前提とされています。圧縮記帳には以下の3つの方法があります。

・帳簿から直接減額する方法

「直接減額方式」、つまり損金の経理により、帳簿の価額を直接減額する方法があります。ただこの方法は、課税を繰り延べるだけであって免税ではないところに注意しましょう。圧縮記帳が適用される初年度は税負担が少なくなりますが、固定資産が減額され減価償却費が少なくなることから次年度からの税負担は増加します。

・損金経理により積立金として処理

法人税法第42条第1項には、「固定資産につき、その取得又は改良に充てた国庫補助金等の額に相当する金額(以下この項において「圧縮限度額」という。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法(政令で定める方法を含む。)により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入」とあります。

つまり、圧縮限度額を費用として計上するのではなく、積立金として計上するということです。このような会計処理をした場合であっても、税務上は損金算入が認められているということですね。

・余剰金の処分により積立金として処理

こちらはいわゆる「積立金方式」。これは確定決算または決算確定の日までに、剰余金の処分により圧縮積立金を積み立てる方法です。つまり、繰越利益の剰余金を圧縮積立金としてふりかえます。それにより繰越利益剰余金を減らし、株主への配当財源より補助金収入を取り除きます。「直接減額方式」よりは合理的ですが、より複雑なステップを踏むことになります。

まとめ

1)助成金は利益扱いで雑収入になる

2)支給が決定した日に未収入金として計上し、入金されたら口座預金として計上する

3)消費税は不課税

4)法人税は課税

5)法人税は圧縮記帳により減額できるが、繰り延べるだけで負担が減るわけではない

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志賀 公斗

志賀 公斗

早稲田大学法学部卒。会計事務所勤務を経て志賀公斗税理士事務所を東京で開業。不動産投資・相続に関する節税業務に特化した税理士事務所を運営。著書に『はじめての不動産投資完全負けナシバイブル』『不動産投資でガッチリお金を残す節税のツボ』などがある。




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