平成29年版!個人事業主が納税する税金と申請6ステップ




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志賀 公斗

志賀 公斗

早稲田大学法学部卒。会計事務所勤務を経て志賀公斗税理士事務所を東京で開業。不動産投資・相続に関する節税業務に特化した税理士事務所を運営。著書に『はじめての不動産投資完全負けナシバイブル』『不動産投資でガッチリお金を残す節税のツボ』などがある。
オフィスワークをしている女性

個人で事業を営んでいる場合、国民の義務である税金の納付は、確定申告を通じて自分で手続きをしなければいけません。

個人事業主が納税する税金の種類4種類と、それぞれの金額の算出方法、そして個人事業主の確定申告に必要な申請ステップを解説します。

1)個人事業主が支払うべき4種類の税金

個人事業主が納税する税金には、国に治める国税と、都道府県に収める地方税の、全部で4種類があります。それぞれについて見てみましょう。

【1】国税

国に治める国税には、所得税と消費税があります。これらはどちらも確定申告を通じて支払う「申告税」です。

・所得税

個人事業主が、1年間で得た「事業所得」収入に対して課せられるのが、所得税です。1年間というのは1月1日から12月31日を指します。

所得税は「申告納税制度」に基づいて納めます。自分で1年間の所得を計算し、翌年の確定申告期間内に、税務署に納税する仕組みです。確定申告の期間は通常2月16日から3月15日となっています。

・消費税

この消費税は、個人事業主が営んでいる事業に対し、消費者が払った税込8%の対価分の、「預かった消費税」を税務署に納める分です。

8%の消費税のうち6.3%が国に納められ、1.7%が地方に納められています。振り分けは自動的に行われるので、納税者が計算する必要はありません。個人事業主の消費税は、事業を始めて2年以内で一定の場合、また前々年の課税売上高が1,000万円に満たない場合は、納める必要はありません。

前年6月までの課税売上高だけで1,000万円を超えて、かつ同じ期間内で給与などの支払い金額も1,000万円超えた場合は、消費税を支払う必要があります。確定申告と同時に現金で納付する方法、ゆうちょ銀行などの日本銀行歳入代理店である金融機関で払う方法、または銀行振込にする方法などがあります。

【2】地方税

都道府県に納める地方税には、個人事業税と住民税があります。地方税は前年度の確定申告などに基づいて計算されて、納付書が送られてきます。納税者が自分で計算したり、申告したり必要はありません。

地方税は、基本的に自分の住民票がある都道府県に納めます。事業を営んでいる都道府県と住んでいる都道府県が違う場合などは、事前に届け出をして変更することも可能です。

・個人事業税

個人事業税は、個人の事業に対して課される地方税です。1年間の「事業の売り上げ」から「必要経費」を引いた事業所得が290万円以下の場合は、個人事業税は納める必要はありません。所得税の確定申告を元に算出されるので、別途計算する必要はありません。個人事業税は8月と11月の年2回納付します。

・住民税

住民税は、その地域で生活する住民が納める義務のある地方税です。所得税の確定申告を元に、住民票のある市区町村から納税通知書が発行されます。一般的に6月・8月・10月・1月の年4回で分割、または年一括で納めます。

2)シミュレーション!どんな風に算出する?

ご紹介した4種類の税金は、どのように算出するのでしょうか。事業所得だけを得ている個人事業主の場合を見ていきましょう。

【1】所得税

所得税は以下の手順で算出します。

STEP1:個人事業の1年間は1月1日から12月31日までです。まず1年分の「総収入金額」=売上合計を集計します。

STEP2:次に課税されない「必要経費」を集計します。必要経費とは商品の仕入代金、人件費支払いや、交通費・通信費など、事業に関連して支出した費用の事です。

STEP3:1で出した「売上合計」から「必要経費」と「控除対象費用」を引いたものが、事業所得となります。

STEP4:3で算出した金額が、課税所得金額となります。所得税額は課税所得金額によって異なります。下の表から該当する税率と控除額を調べます。

例えば500万円が課税所得な場合、所得税額は20%の税率で、427,500円が控除額となるので、以下のようになります。

所得税額 = 500万円 ×20% -427,500円 =572,500円

課税所得金額

税率

控除額

~195万円

5%

0円

195万円超~330万円以下

10%

97,500円

330万円超~695万円以下

20%

427,500円

695万円超~900万円以下

23%

636,000円

900万円超~1,800万円以下

33%

1,536,000円

1,800万円超~4,000万円以下

40%

2,796,000円

4,000万円超

45%

4,796,000円

【2】消費税

消費税の計算方法は色々ありますが、もっとも基本的な計算式は以下の通りです。課税売上高の8% - 課税仕入等の8%= 消費税の納付税額例えば商品を税抜き300万円で仕入れて、税抜き1、000万円の売り上げがあったとすると、消費税の納付金額は56万円となります。

1,000万円×8%-300万円×8%=560,000円

【3】個人事業税

個人事業税は、事業で得た「総収入金額」から「必要経費」を引いた算出した「事業所得金額」に、一定の税率をかけて計算します。税率は業種ごとに違っており、地方税なので都道府県ごとにも違います。以下が代表的な業種と税率の例です。3%~5%が一般的ですが、現在ほとんどの業種は5%に該当します。

・販売業や飲食業等:税率5%

・水産業や畜産業:税率4%

・医師-税理士-弁護士業の税率:5%

個人事業税には290万円の控除があります。例えば販売業者で事業所得金額が700万円だとすると、個人事業税は以下のようになります。個人事業税 =(事業所得700万円-控除290万円)×5%=205,000円

【4】住民税

住民税は、「均等割」と「所得割」の2部構成になっています。

・均等割

一律決まった金額です。多くの都道府県で1年あたり4,000~5,000円が平均です。また、2017年時点で所得税の額の2.1%相当額が、「復興特別所得税」として、「均等割」に上乗せされています。

・所得割

所得によって金額が変わります。以下の式で算出します。住民税額は、市区町村民税6%と都道府県民税4%の計10%となっています。

所得割=( 前年の所得金額- 所得控除額)× 税率10%- 税額控除額

打ち合わせをしているビジネス風景

3)個人事業主の代表的な経費18つと注意点

課税対象となる「事業所得」は、「総収入金額」から「必要経費」を引いた金額です。必要経費をきちんと把握することは、正しい金額を納税するためにとても大切な事です。個人事業主が計上できる代表的な経費と、注意点を見ていきましょう。

【1】旅費交通費

電車賃、バス代、タクシー代、航空運賃、駐車場代、出張宿泊費など

【2】広告宣伝費

商品やサービスの広告・宣伝に使う費用。試供品やポスティングの費用等も含む

【3】通信費

電話料金、インターネット料金、切手代、はがき代、FAX代など

【4】接待交際費

取引先との飲食代、お得意先へのお祝い金・贈答品、取引先との交際費など

【5】給与賃金

従業員、専従者に支払う給料

【6】福利厚生費

慰安旅行費、お見舞金や従業員健康診断など、従業員のために使った費用

【7】外注費

事業に関係する作業を、外部の業者に業務委託した場合の費用

【8】消耗品費

文房具、名刺やUSBなど、10万円未満または法定耐用年数が1年未満のものを購入ための費用

【9】荷造料

商品の梱包や発送にかかる資材代や送料

【10】雑費

ごみ処理代、クリーニング代、引越費用など、どの勘定科目にも属さない少額の必要費用

【11】利子割引料

金融機関への支払利息、自動車ローン、住宅ローンなど、 借入の支払利息など

【12】地代家賃

事業に使っている土地や建物にかかる賃貸料や使用料

【13】水道光熱費

事務所など事業の運営に必要な場所で使う水道料金や電気料金など

【14】減価償却費

PC、コピー機や自動車など、高額な固定資産を一定期間にわたって計上する費用

【15】修理費・修繕費

自動車修理代、事務所の改修・修理費やPC修理代など

【16】損害保険料

自動車保険、自賠責保険、事務所の火災保険や賠償保険など、事業を守るためにかけた保険料

【17】損金処理項目

売掛金、未収金、貸付金、前渡金などが回収ができなくなった場合に、損金処理として使う勘定科目

【18】租税公課

印紙税や自動車税など、特定の税金として支払った費用(住民税や消費税は除く)

【経費を計上する際の注意点】

「事業を行う上で必要な支出」は、基本的に経費とすることができますが、明確な定義はありません。業種や収支に応じて、経費と認められる範囲は変わってきます。収入と経費のバランス、業種と経費のバランスなどが明らかにおかしい場合、経費として認められないこともあります。

使途の判断が付きにくそうな出費を必要経費とする際には、証拠にできる資料などを準備しておくことが大切です。

4)青色申告のメリットって?確定申告の概要を解説

ほぼすべての個人事業主は、納税の義務を果たすために確定申告を行う必要があります。確定申告について詳しく見ていきましょう。

【1】確定申告とはなに?

事業で得た利益には、所得税が課税されます。所得税の金額を計算し、税務署に申請と納税を行う手続きが、確定申告です。

【2】4種類の申告の違い

確定申告には白色1種類と青色3種類の、合計4種類の方法があります。

・白色申告は、単式帳簿式の確定申告です。手続きが単純な代わりに節税のメリットがあまりないので、事業所得がさほど多くない場合などに使われます。

青色申告には「青色申告単式簿記申告(発生主義・現金主義)」と「青色申告複式簿記申告」の2種類があり、事前に届け出が必要です。「所得税の青色申告承認申請書」をその年の3月15日まで に提出するか、 新規開業の場合は、開業日から2ヶ月以内に届け出をします。

・「青色申告単式簿記申告」は、発生主義と現金主義とがあり、それぞれ課税対象額からの控除額は10万円です。単式帳簿なので手間がかかりません。「現金主義」は前々年の事業所得が300万円以下の場合のみ利用できます。

・「青色申告複式簿記申告」は、次のようなメリットがあります。

【青色申告複式簿記申告をするメリット】

・65万円の控除を受けることが可能

・事業赤字を3年間分繰り越して、収入と相殺することが可能

・30万円未満の減価償却経費を、1年で300万円まで一括計上することが可能

・未回収の売掛金を費用として計上することで、課税対象額を減らすことが可能

・家族を従業員として雇用する際、給料を課税対象額から差し引くことが可能

・自宅兼事務所・店舗の場合、家賃や光熱費も経費扱いすることが可能

【3】確定申告のタイミングとは?

・申告時期

所得税の確定申告の期間は、原則として2月16日~3月15日です。開始・締切日が週末と重なった場合は、前後することもあります。前年1月1日から12月31日分を申告します。

・納税時期

確定申告で算出した申告所得税の納付期限は申告期間と同じで、原則3月15日までです。銀行引き落としの場合は、4月20日前後に口座から引落とされます。

電卓を使っている美人すまん

5)個人事業主の確定申告の申請6STEP

個人事業主が確定申告をする際の手順は、次のようになっています。

【1】STEP1:領収書の保管・管理

事前準備として、事業に関係するすべてのレシートや領収書などは、保管して仕分けをしておく必要があります。

【2】STEP2:経費項目の分類

事前準備として、レシートや領収書に基づいて帳簿を付けておく必要があります。個人事業主用の確定申告ソフトウェアなどを利用すると、必要項目が分かれていて非常に便利です。

【3】STEP3:届出の申請

青色申告をする場合は事前の届け出が必要です。その年の3月15日まで に提出するか、 新規開業の場合は、開業日から2ヶ月以内に届け出をします。

【4】STEP4:申告書の準備

税務署から入手するか、国税庁のサイトからダウンロードしましょう。納税を現金でする場合には、税務署や所定の金融機関から、納付書ももらう必要があります。個人事業主が使う申告書は、一般的には次の通りです。

・青色申告の場合:「確定申告書B第1表」「確定申告書B第2表」「所得税青色申告決算書(一般用)」

・白色申告の場合:「確定申告書B第1表」「確定申告書B第2表」「所得税収支内訳書(一般用)」

【5】STEP5:申告書の作成

帳簿に基づいて申告書を記入します。

【6】STEP6:提出

期限内に税務署に提出し、納税します。

6)確定申告において知っておきたい3つのこと

個人事業主が確定申告をする際に、知っておきたいポイントをお伝えします。

【1】簡易課税制度とは?

簡易課税制度とは、消費税の「仕入控除税額」を「みなし仕入率」によって計算し、簡易的に算出することができる制度のことです。原則として、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の個人事業主が、事前に届け出をした際に利用できます。

【2】確定申告をしなかったらどうなるの?

期日までに確定申告をしなかった場合、納税対象者は以下の罰則を受ける可能性があります。 

・「無申告加算税」の支払い

・「延滞税」の支払い

・65万円の控除適用がなくなる

【3】確定申告の内容に不備があった場合はどうなる?

確定申告の期間内に不備に気づいた際は、「訂正申告」をすることができます。申告期間以降に気づいた場合は、追加で納税する必要があるなら「修正申告」、納めすぎた場合は「更正の請求」を行います。

期限後申告は、通年3月15日の確定申告期限に間に合わなかった場合です。この場合、無申告加算税が課されます。加算税の税率は、納付すべき税額に対し50万円までは15%、50万円以上の部分には20%となります。自主的に期限後申告をした場合は、5%となります。申告した日が納付期限を過ぎてしまった場合は、さらに延滞税も加算されます。

まとめ

1)個人事業主は、消費税と所得税を確定申告を通じて納めます

2)青色申告は事前の届け出が必要です

3)使途不明金を出さないよう、事業で使った費用のレシートなどは必ず保管しましょう

4)確定申告を期限内にするためには、日ごろからの帳簿付けが大切です

5)確定申告の期限を破ると、延滞税などを支払う必要性も出てきます

6)確定申告の期限が守れないと、課税控除が受けられなくなります

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志賀 公斗

志賀 公斗

早稲田大学法学部卒。会計事務所勤務を経て志賀公斗税理士事務所を東京で開業。不動産投資・相続に関する節税業務に特化した税理士事務所を運営。著書に『はじめての不動産投資完全負けナシバイブル』『不動産投資でガッチリお金を残す節税のツボ』などがある。




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