
公務員なら一生安泰と言われていた時代も終わりを迎え、よりよい将来のため資産運用を考える時が来ています。しかし公務員の資産運用は会社員とは異なり、さまざまな制約があります。
注意点とオススメの資産運用について見ていきましょう。
資産上昇!公務員が注目すべき資産運用5選とその利点とは
1)そもそも資産運用とは?
資産運用とは、自分が持つ資産を株・投信信託・不動産・保険などを通じて、さらなる利益を求めて増やしていくことです。
【1】なぜ資産運用は必要なの?
少子化が進んでいる日本社会では、現役の世代が年金生活者を支えていくのは厳しくなってきています。そして日本は平均寿命が男女ともに80歳を超える長寿社会です。退職後のセカンドライフが人生を占める割合が大きくなりました。そうなると年金だけで老後の生活を支えることは難しくなります。
必要な老後資金は、自分たちで増やしていくことが必要になってきたのです。老後資金がより多く必要となっている今ですが、低金利時代の預貯金だけで財産を増やすことはできません。そのため資金運用を行って資産を増やす必要があるのです。
・公務員は一生安泰?
以前は公務員になれば一生安泰などと言われていました。一般企業のように業績による倒産やリストラの危険がなかったからでしょう。しかし近年状況は変化しています。給与減少や業務仕分けによる人員カットも行われるようになりました。郵政民営化で公務員だった郵便局員は民間サラリーマンになったのも最近です。これからはさまざまな分野の公務員にもグローバル化の波がおし寄せ、一生安泰とは言えなくなってきたのです。
・公務員が60歳までに得られる平均額とは?
公務員に60歳までに支払われる予想生涯賃金は、平均で約2億1千万円から2億8千万円とされています。これは民間企業の生涯賃金とほぼ同じ金額です。
【2】老後の必要な資金とは?
20代から70代以上の幅広い世代に行われたアンケート調査では、夫婦2人の老後の最低予想生活費は月27万円でした。興味深いポイントは、実際にセカンドライフを送っている60代は30万円・70代は28万円と、より高めの金額を回答しています。
ですから実際には27万円より多く必要なことが予測できます。そして厚生労働省が発表したモデル世帯の夫婦2人の年金支給額は月23万円です。すでに収支があっていません。そして物価が上がっても年金支給額は変わらない点も注意したところです。
【3】資産運用は副業になるの?
・そもそも副業の定義とは?
副業の定義は「収入を得るために行う本業以外の仕事」が一般的なものです。公務員には「職務に利害関係が生じない」「職務に影響が出ない」「信頼性を失わない」条件を満たせば、副業が認められています。例えば家業の手伝い・教員の教育関係の執筆活動・資産運用による収入・一定規模以下の不動産投資等です。
・資産運用は副業に当たる?
前述しましたが、資産運用は認められています。株・FX・投信信託・不動産投資等は、認められている範囲で行うことが可能な副業です。公務員が行っても問題ありません。
【4】副業にならない為に押さえておくべき3つのこと
・業務時間外に行うと「職務に影響が出ない」に反する
・インサイダー情報の利用は「信頼性を失わない」に反する
・本業の役職や名刺を利用するのは「職務に利害関係が生じない」に反する
例えば株での資産運用は認められていますが、勤務時間中に売買するのは禁止されている副業となるわけです。
2)公務員が注目すべき資産運用5選
ではどのような資産運用が公務員に向いているのでしょう?ここでは5つの投資方法をメリット・リスク・成功のポイントと合わせてご紹介します。
【1】不動産投資
・公務員にオススメな理由
不動産投資は公務員と相性がいいと言われている資産運用の方法です。それは公務員の社会的信頼が高いため、ローン審査で有利になることが多いからです。不動産は管理会社に管理を委託することが多いので、購入後は時間の制約が少ない資産運用でもあります。ですから「職務に影響がない」という公務員の副業条件を満たします。
・不動産投資のメリット
不動産投資は長期的に安定した収益を上げることができます。ローンを組むと団体信用生命保険が付くので、債務者に万が一があった時はローンの残債はなくなり、家族にローンなしの収益物件を残すことが可能となります。また、不動産価格や家賃は物価の上昇とともに上がるので、インフレ対策にもなります。
・抑えておきたい不動産投資のリスク
一番のリスクは空き室や家賃滞納により、ローンが払えなくなるということです。そして地震や火災のリスクにも常に備えておく必要があります。また他の投資に比べて金額が大きいこともリスク要因になります。
・不動産投資の3つの成功ポイント
1つめは資産価値が高く空室になりにくい物件を探すことです。例えば大学周辺の物件を購入するなら、ファミリー向けではなく単身者向け物件を探すことなどです。2つめはローンを借りすぎないことです。返済金額が大きすぎると、空室や滞納が発生した際にローン返済に支障が出るので注意しましょう。
3つめは必要経費をきちんと把握することです。不動産会社に払う仲介手数料や広告料、税金、原状回復費、ローンの利息など、必ず発生する費用はきちんと把握しておきましょう。
【2】保険・個人年金
・公務員にオススメな理由
通常公務員は国民年金・共済年金・年金払い退職給付があります。個人年金保険はそれにプラスアルファとなる老後資金を積み立てながら、節税のメリットがあることがオススメの主な理由です。
・保険や個人年金のメリット
老後資金を積み立てながら貯めるなら、銀行の預貯金よりも所得税と住民税の税金控除がある保険や個人年金がオススメです。個人年金は生命保険料控除が受けられるので、将来の年金を積み立てながら保険料支払い中は税金が安くなるからです。そして
近年、年金の財源不足による支給年齢の引き上げが行われています。個人年金は退職から支給開始までの無収入状態にも対応することが可能です。個人年金は加入中の支払額の増額・減額ができます。ですから払える期間は多めに、出費が多い年は減らすなどして対応できます。
・抑えておきたい保険や個人年金のリスク
保険や個人年金は長期支払い続けることが条件となります。途中解約は元本割れのリスクがあります。また個人年金は10年以上払い続けることが条件となりますので、60歳から受け取りたい場合は50歳から加入する必要があります。
リスクではありませんが、保険料控除は年間8万円までの保険料支払い額という上限があることも知っておきましょう。税金控除のメリットを最大限に生かすには月7千円程度の積み立てが効率的だということです。個人年金商品の運用は金融機関のトレーダーが行います。信頼できる金融機関を選ぶことも大切になってきます。

【3】投資信託
・公務員にオススメな理由
投資信託は運用をプロに任せられるので、公務員の副業規定に反する心配はほぼないといえる投資方法です。
・投資信託のメリット
最大のメリットは少ない金額から投資できることです。積立て型の投資信託は、老後資金の準備方法として人気があります。日本国内株や国内債券だけでなく、外国株などに投資も可能なので、分散投資できる点もリスクを減らすメリットとなります。そして2014年から開始されたNISAで、税金面で優遇も受けられます。
・抑えておきたい投資信託のリスク
運用によっては元本割れするリスクがあります。商品によりますが、個人年金保険に比べるとリスクはやや高めです。注意したいのは購入時の販売手数料以外にも、信託手数料といって年05%から2.0%の費用が掛かる点です。そして投資信託は長期保有が成功のキーとなります。短期で必要になる資産の運用には向いていません。
・投資信託の3つの成功ポイント
手数料は商品によって変わってくるので、よく調べてから購入することが1つめのポイントです。2つめは長期保有を念頭に入れておくことです。そして3つめはプロの運用だからと思って買ったまま放置しないことです。投資信託の基準価格は毎日更新されます。定期的に運用成績を確認しましょう。投資成績を意識的にチェックしておくことは、長期投資では特に大切です。
【4】株式投資
・公務員にオススメな理由
一般的な公務員の勤務時間は、基本株式市場の取引時間と重なっています。ですから株式投資は無理だと思っている方もいるのではないでしょうか。実は株自動売買設定で取引を行うことができ、これを利用すると業務時間中でも条件に一致した取引を行うことができます。ですから副業規定にも反しません。
・株式投資のメリット
メリットは値上がり益・配当金・株主優待が受けられることです。株主優待が魅力的な会社の株式銘柄を選ぶと、保有しておくだけで得点がもらえます。
・抑えておきたい株式投資のリスク
業績の悪化や為替の変動などによる値下がりのリスクや、投資している会社が倒産するリスクがあります。また株式は売り手と買い手がいて初めて売買が成り立つので、取引量の少ない銘柄だと売りたいときに売れないというリスクもあります。。
・株式投資の3つの成功ポイント
まず1つめは基本データの見方を学んで、しっかりした基準で選ぶことです。配当ばかりに惑わされないよう気をつけましょう。人任せにせず自分で調べて購入する銘柄を決めることも大切です。そして余剰資金で運用を行うことです。
【5】FX
・公務員にオススメな理由
FXは世界各国の通貨の売買を24時間行えますから、業務が終わった時間帯に取り組むことができます。安定している一方で業績評価が反映されにくい公務員の給与は、大きな収入アップを期待することはできません。ですがFXはレバレッジという仕組みを利用することで元手より大きなリターンを狙うことができます。
・FXのメリット
売買する通貨の種類は株式投資に比べて少ないので、比較的市場のトレンドがつかみやすくなっています。そして少額で始められ、短期間で成果が出るのも魅力です。レバレッジという機能を使うと、元手よりも多い投資が可能となっています。また売り買いどちらもできるので、例えば円安円高どちらの局面でも成果を出すことが可能です。手数料も外貨預金より安く、購入売却で1通貨あたり10銭から20銭が平均となっています。
・抑えておきたいFXのリスク
レバレッジを使うと自己資金の数十倍以上の金額を取引できます。ですが損失を出した場合には、預けた証拠金以上の金額を支払わなくてはならないこともあります。為替はが想定外の値動きをした場合、為替差による損失金が発生することがあります。
・FXの3つの成功ポイント
FX取引はしっかり学習し分析力をつけてから始めましょう。そして自分の資金の限界をしっかり把握してトレードしましょう。損切りのラインを決めておくことも大切です。そして一番大切なのはレバレッジに頼りすぎない事です。レバレッジ1倍でも利益を出すことも可能ですから、必要以上にレバレッジを使って一獲千金を狙うのは控えましょう。
3)資産運用を始める前に!失敗しないための4つのポイント
銀行に貯金するだけでは将来に十分備えられない現代社会では、誰もが資産運用を行う必要が出てきました。失いたくない大切な資産を守るため、失敗しないためのポイントをまとめました。
【1】いきなり高額運用でなく少額からスタートを
ルールもやり方も知らないスポーツでいきなり試合には出れません。投資も同じことです。いきなり高額を運用し始めるのではなく、少額からできるものをまず選びましょう。例えばミニ株や投資信託積立てなどがオススメです。
【2】その道の専門家と一緒にスタートを
最近はインターネットを通じて、自分の判断のみで資産運用を行えるようになりました。資産運用は生涯を左右する大切なことです。もし不明な点があったら、信頼できる専門家に相談してアドバイスを求めましょう。
【3】預けっぱなしではなく最新情報を常にキャッチ
買っただけで終わりではなく、事後管理もきちんとしましょう。なるべくニュースに目を通したり、メルマガに登録して関連情報を得る努力をすることも大切です。
【4】資産運用の3つの原則とは?
・長期的運用(最小10年以上)のメリット
長期運用は複利と同じ効果が期待できます。長期で運用すればするほど、小さな財産を大きな財産に育てることができます。
・積立運用(一定額を運用)のメリット
毎月発生する給料天引きの年金と同じ仕組みです。買うタイミングを分散でき、知らずのうちに溜まっているメリットがあります。
・分散投資(リスクコントロール)メリット
すべてを同じ場所で資産運用するのはリスクが高いの分散して投資しましょう。例えば株式なら違う業種から選ぶなどです。運用方法も1種類だけでなく数種類組み合わせましょう。FX投資だけでなく保険商品・投資信託にも回すなどです。
まとめ
1)公務員も資産運用して年金への上乗せが必要です
2)公務員は「職務に利害関係が生じない」「職務に影響が出ない」「信頼性を失わない」範囲で副業が認められています
3)不動産投資ではローンの組みすぎに気をつけましょう
4)個人年金保険は10年以上払い続ける必要があります
5)投資信託は手数料をよく確認しましょう
6)株式投資は優待だけに気を取られないようにしましょう
7)FXのレバレッジ機能は必ず使う必要はありません