マンションの減価償却を算出!上手に活用する5つのポイント




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北田豊

北田豊

ファイナンシャルプランナー・AFP・資産形成コンサルタント
外資系金融機関にて7年間勤務。連続年間表彰、上位1%の成績を収めた後、株式会社Bright Reachに副社長として参画、入社後半年以内で、代理店ランキング全国No.1に育て上げる。不動産・保険を活用した、節税・節約・資産形成コンサルタントとして活動。MDRT基準COTホルダー
サラリーマンの男性とペン

不動産取引では、様々な土地や建物を売買していくものです。皆さんは、減価償却という言葉をご存知でしょうか。

不動産取引を行っていく上で重要になるこの減価償却。税金や節税の観点からもしっかり取っ把握しておくことで有利になります。今回はマンションや不動産の減価償却についてお伝えします。

マンションの減価償却を算出!上手に活用する5つのポイント

1)そもそも減価償却とは?

【1】減価償却とは

マンションやビルのように資産価値が時間経過によって少なくなっていく固定資産に対して、購入時にかかった費用と耐用年数によって毎年費用計上していく会計処理です。資産価値が減少していく不動産に対してかかった費用は、収益を得るための年数に応じて費用計上して会計処理する法が望ましいという「費用収益対応の原則」に基づくためです。

減価償却には定額法と定率法の二つがあります。定額法は、購入時の費用を耐用年数で割り、そこで出た金額を毎年経費計上するという方法です。耐用年数は建物により細かく分けられていますが、最長50年、最短3年となっています。定率法は、購入時の費用に対して、償却率をかけて出た金額を毎年経費計上するという方法です。毎年減価償却額が減少していく所が定額法と違うところです。

【2】減価償却の「建物」「土地」での対象の違い

時間経過によって資産価値が減少していくものに減価償却は適用されます。建物は減価償却の対象となりますが、土地は減価償却の対象にはなりません。減価償却は「物の劣化代」と考えれば、分かりやすいかと思います。建物は劣化していくので減価償却費を計上出来ますが、土地は劣化しないため計上出来ないという事です。

【3】中古物件と減価償却の関係って?

減価償却費は耐用年数によって決まる事は説明しましたが、建物が中古だった場合は、原則「見積法」を使って計算します。耐用年数を使用可能期間から見積もるので、見積法と言うのですが、実際にその建物があとどのぐらい使えるのか計算するのはとても難しいです。

なので、中古建物の耐用年数を簡単に出すための簡便法という計算方法が使われます。「簡便法」は、築年数が耐用年数以上の場合と築年数が耐用年数の一部を超えている場合の2つのパターンで計算方法が変わります。築年数が耐用年数を超えている場合の計算方法ですが、耐用年数=法定年数×20%で求められます。

木造の店舗や住宅用の耐用年数22年で計算してみましょう。22年×20%=4年となるので、この場合は4年が中古での耐用年数となります。築年数が耐用年数の一部を超えている場合は、耐用年数-築年数+築年数×20%で求められます。経過年数が10年として、先程と同じ22年で計算してみましょう。22年-10年+10年×20%=14年となります。12年が耐用年数になるわけです。この簡便法で出された耐用年数から減価償却費は計算されます。

【4】不動産所得と税金の関係

・不動産所得の計算方法

収入金額と必要経費を分かっていなければ不動産所得は計算できません。マンション経営であれば家賃収入や更新料が収入金額となりますが、その収入を得るために使った経費は必要経費となります。それを差し引くと不動産所得は計算できます。収入金額-必要経費が不動産所得 となるわけです。

・必要経費が多いほど税金は安くなる?

収入を得るために使ったお金が必要経費となります。これらは管理費や修繕費、固定資産税や損害保険料等が代表的です。利益を得るために支払った費用は経費として計上されるため、税金の支払いが少なくなります。利益が100万円あるならば税率40%がかかった法人税40万円を支払う事となり、60万円が残る事になります。

しかし、決算の間までに10万円管理費に使ったとします。そうするとその10万円は経費となりますので、利益は90万円になり、税率40%をかけた法人税が36万円になります。ですので、必要経費が多いほど税金は安くなるという訳です。

【5】減価償却費と節税の関係

一定期間に渡って資産を分割して費用計上していく事が減価償却ですが、これを有効活用する事は節税に繋がります。減価償却の対象になる物は、購入費用が10万円以上、1年間以上の継続使用をされる資産と決まっています。その資産は時間経過で価値が下がるので、その減少額を資産価値から差し引き、減価償却費として充てられます。

10万円以下、もしくは使用期間が1年に満たない物は、会計上の資産にはならず、その年の費用として計上されるので、減価償却の対象にはなりません。

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2)理解しておこう!マンション経営と耐用年数のコト

【1】そもそも耐用年数とは

減価償却資産である物が、いつまで利用出来るかという年数の事を言います。経済的に価値がある物で、年数経過により価値が減少していくので、その原価を一年ずつ費用配分していく事です。

【2】マンション経営で耐用年数はなぜ重要?

マンション経営では、物件の購入の為に、金融機関から融資を受ける事がほとんどだと思いますが、マンションの資産価値がなくなってローンが残る心配をする方も少なくはないと思います。耐用年数が長いものであれば、マンションの資産価値はその期間の間、減価償却費を計上出来るので、税金をある程度コントロールする事が出来ます。

また、マンションの大きさや材質によっても、耐用年数は違ってくるので、減価償却費が大きく変わってきます。マンション経営を行うのであれば、耐用年数をしっかりと把握して減価償却費を考えておく事は重要です。

【3】物件によっての耐用年数の違い

・軽量鉄骨造:19年

・木造造:22年

・レンガ-ブロック造:38年

・鉄骨造:34年

・鉄骨鉄筋:47

・鉄筋コンクリート造(RC):47年

耐用年数は新築なのか中古なのか、またその造り方により何種類にも分かれています。上記であげた年数はマンションにおける耐用年数になっています。例えば木造であれば、事務所用24年、店舗・住宅用22年、飲食店用20年、旅館・ホテル・病院用・17年、公衆浴場用12年、工場・倉庫用15年

この様に、木造だけでも6種類の耐用年数に分けられています。金属造であれば18種類にも分けられているので、物件による耐用年数は気を付けておかなければいけません。

【4】耐用年数はどうやって決められているの?

耐用年数は、税法によって法定耐用年数が決められており、その建物の構造や用途によって年数が変わってきます。建物の耐用年数は平均20~40年程ですが、材質や建物の規模によっても変わってくるので、自分の所有している物がどの耐用年数になるのかは国税庁発行の耐用年数表を見てしっかり把握しておくべきでしょう。

【5】「事業用」と「非事業用」での違いは?

事業用と非事業用では、耐用年数が大きく変わってきます。事業用の物件は、耐用年数が短くなっており、非事業用の耐用年数は長くなっています。これは、非事業用の耐用年数が事業用の1.5倍で計算される為です。耐用年数が変わるという事は、償却率も変わるので減価償却費も考えておきましょう。

3)マンションの減価償却の計算の前に!確認しておくべきこと

【1】減価償却額はマンション以外のものも含まれる

減価償却は、資産価値が減少していく物であれば適用される為、マンション以外にも車や建物にも適用されます。車や建物も使用や時間経過によって、資産価値が減少していきます。この資産の減少した部分は減価償却費として認められます。

【2】所得金額とは

所得金額は収入金額から必要経費を差し引く事で計算出来ます。所得と収入は同じ意味で使われる事が多いですが、必要経費を差し引くかどうかによる為所得税を計算する時に間違えてしまうと計算が違ってしまいます。例えばマンションの賃料で収入が1000万円、必要経費が500万円であった場合、所得金額は500万円と言う事になります。

しかし、必要経費が50万円であった場合、所得金額は950万円になります。収入は同じ1000万円でも、所得金額は450万円の差が出てくるのですが、収入金額だけで所得税の計算をしてしまうと、同じ所得税が掛かってしまいます。

【3】耐用年数に応じた償却率

マンションであれば建物と土地として分けて考え、償却価格の計算方法を選び、耐用年数から減価償却費を計算していきます。その際、償却率は耐用年数から税法により定められた償却率によって計算されるのですが、定額法であっても、定率法であっても、耐用年数が長ければ長いほど償却率は少なくなっていきます。期間に対して、金額を分配する為、償却率も少なくなるという訳です。

【4】不動産の減価償却費の計算

・定額法

定額法では、取得価格×定額法の償却率により減価償却費が求められます。償却費の額が毎年同じになるように費用を分ける方法です。耐用年数で計算するだけなのですが、上手く計算出来ない年数が出てきます。例えば、3年や6年で計算する場合、0.3333、0.1666の様に割り切れなくなってしまいます。なので、耐用年数毎に税法で決められた定額法の償却率を使わなければなりません。

・定率法

定率法では、期首未償却残高×定率法の償却率により減価償却費が求められます。初めの年は償却費が多いですが、毎年減価償却資産の取得価格から前年までの減価償却額を差し引いた残高に、一定の償却率を乗じる事で減価償却費を計算します。定率法の償却率で計算した償却額が償却保証額より少なくなった年からは毎年同額となっていきます。

・耐用年数

減価償却が適用される資産がどのぐらい利用出来るかの年数で、経済的に価値があるが使用する事による減価を減価償却費として計算する為の基礎になります。

・減価償却費の計算方法

建物と土地を分けて考え、償却価格の計算方法を選び、耐用年数から減価償却費は計算出来ます。

取得価格×耐用年数に応じて定められた償却率

上記の計算で求められますが、償却率は法定耐用年数によって、定額法と定率法それぞれの計算方法で決まっているので、耐用年数に応じた償却率を国税庁のHPから確認して計算しましょう。

【5】新築・中古の違い

耐用年数が一番の違いです。新築の方が耐用年数は長くなりますし、減価償却費も新築であれば計算し易く、長期的な耐用年数が確保出来ます。中古物件の場合は、減価償却費を個別判断出来る為、そこが利点と言えるでしょう。

これは売主が課税業者であれば、建物は消費税が課税されているので、割り戻すと建物価格が判明する為です。最初から建物と土地を分けて表示されている場合には使えません。

ビジネスの統計や調査のイメージ

4)ケーススタディ!減価償却費の計算方法

【1】ケース1(1部屋購入):新築鉄筋コンクリートマンション:購入価格3,500万円

・耐用年数:47年

・償却率:0.022

・減価償却費の計算:3500万×0.022=77万円

【2】ケース2(1棟購入):中古重量鉄骨マンション:築年28年6ヶ月 購入価格1億1,000万円

・取得価格:1億1000万円

・償却率:0.030→耐用年数が10年になるので0.100

・減価償却費の計算:34年-29年+29年×0.2=10(10.8は切り捨て)1億1000万×0.1=1100万円

6)減価償却を上手に活用する5つのポイント

【1】建物価格の割合の高い物件をチェック

建物価格の割合が高い物件という事は、土地価格が低いという事です。減価償却費は、建物には適用されますが、土地には適用されない為、減価償却費を計上する上では、割合が高い物件である方が有利です。

中古物件であれば、売主と交渉する事で建物の購入希望価格を売買契約書に記載する建物の金額を上げてもらい、土地の金額を下げる事で建物価格の割合を高くする事も出来ます。

【2】耐用年数の短い建物をチェック

耐用年数が長い方が原価償却の期間も伸びるので、それだけ計上期間が増えるという事には繋がるのですが、経営という観点からみると、減価償却の期間内にその経営を続ける事が出来なくなる事も考えられます。投入した資金の早期回収という考え方をすると、耐用年数は短い方が有利です。

【3】売却を見据えたシミュレーションを

減価償却は、購入時は経費に使えてメリットしかありませんが、売却時に多くの税金を支払う仕組みになっています。譲渡所得は売却価格-購入価格-取得費用-譲渡費用+減価償却費の合計となっている為です。減価償却費は費用として計上されていましたが、売却時には、すべて戻して計算されます。計上した減価償却費の分だけ譲渡所得が大きくなるので、税金の支払い額が大きくなります。

【4】売主に念密な交渉を

建物価格の割合の高い物件をチェックの項目でも触れましたが、物件を購入する際には、建物価格と土地価格の割合が大事です。売買契約書に土地と建物の価格が記載されていないのであれば、交渉を行い、建物の価格を高くしてもらう事が何よりも重要となっています。

【5】減価償却費は大きい方がいいは間違い?

減価償却費が大きい方が、家賃収入を得ている時の税負担は少なくなっていきます。しかし、不動産を売却した時には、譲渡所得により減価償却費の合計の税金が掛かってきてしまいます。つまり、不動産を購入価格と同じ金額で売却した時には、これまでの減価償却費がそのまま税金の対象になる訳です。

減価償却費は税金の先延ばしとも言えるので、実際は税負担の合計額が軽減されている訳ではありません。なので、減価償却費が大きい方がいいと言うのは間違いと言えます。この点を理解して、不動産と上手に付き合っていきましょう。

まとめ

1)減価償却とは資産価値の減少していく資産に対して行われる計上処理

2)減価償却費は耐用年数によって決められる

3)耐用年数は材質や用途によって変わる

4)減価償却は節税に使用できる

5)減価償却は車や建物にも適用される

6)建物価格の割合が高い物件は減価償却費を多くできる

7)減価償却は物件の譲渡の際に税金として返ってくる

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ファイナンシャルプランナー・AFP・資産形成コンサルタント
外資系金融機関にて7年間勤務。連続年間表彰、上位1%の成績を収めた後、株式会社Bright Reachに副社長として参画、入社後半年以内で、代理店ランキング全国No.1に育て上げる。不動産・保険を活用した、節税・節約・資産形成コンサルタントとして活動。MDRT基準COTホルダー




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